Tetsuki Nakakura
超効率化 一級建築士製図試験道具の選び方②
今日は、前回に引き続き「超効率化 一級建築士製図試験道具の選び方②」ということで、前回お伝え出来なかった、定規やテンプレート、その他の道具についてお話します。
まず、エスキースで使う定規ですが、私の場合は、外構計画は1/1000で縁空きと駐車場を検討していたので、『レイメイ藤井 定規 はし0目盛り 直定規 18cm』を使っていました。薄くて軽く、使いまわしの良い定規で、15cmだとやや小さいけど30cmだと大きすぎる、ということで、これを使っていました。
また、1/400エスキース用に、15cmの三角スケールも使っていました。三スケは木製や金属製などかっこいいのもありますが、ここは実用性重視で、『コクヨ 三角スケール プラスチック芯 15cm』を使用していました。金属だとまれに角で紙を傷つけることがあるので、プラスチックでいいと思います。また、3面別々の色がついているやつの方が見分けがつきやすくてよいです。
次に、製図用紙を製図版に貼るテープですけれども、私は『3M マスキングテープ 12mm×18M』を使っていました。Scotchのドラフティングテープや製図用テープだと、テープが分厚いため平行定規の端が当たってしまい、テープの糊と鉛筆の粉で図面が汚れている人もいました。手でも切りやすく、糊残りもほとんどなかったので、重宝しました。ただし、湿度が高い日のはがし方だけ、ちょっと丁寧にやった方がよいです。
さあ、いよいよ製図用紙への1/200スケールでの作図に移ります。
まず敷地の寸法を取るために、三角スケールが必要ですね。私は『コクヨ 三角スケール 竹芯 副尺付 30cm』を使っていました。これは正直なんでもよいと思いますが、金属製でない色付きのものが良いと思います。たまに土地家屋調査士用のものなどで、1/250とか訳の分からないスケールが入っている三角スケールもあるので、注意が必要です。普通に1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/600の建築士用を買いましょう。特に1/400はエスキースでグリッドを引くとき等に大きい三スケも使うので、1/400が入っているものにしましょう。
敷地と建物の寸法を取ったら、次はグリッドの基準線を引くと思います。この際、横方向は平行定規がありますが、縦方向を何で引くかというのが問題になります。1,2階平面図や切る方向が揃っている場合の断面図などの基準線は一度で引きたいところです。
大きな三角定規を使っている方もいると思いますが、右端か左端で表裏をひっくり返さないといけませんし、大きな面で図面を擦ると紙が汚れる心配もあります。私はこの縦線を描くためだけに、『ステッドラー レイアウト用方眼直定規 50cm』を使っていました。横幅が6cmあれば、平行定規と直角を取れますし、端の方の線も難なく描けます。そしてグリッド以外に使いませんので、定規は奇麗なままで、紙を汚す心配もありません。
次に、柱を作図する方が大半だと思います。通常の柱は700角、ロングスパンのPC梁を支持する柱は800角ですから、1/200の図面で3.5mm角か4mm角のテンプレートで作図することになります。大体①総合資格の青いテンプレート、②日建学院のオレンジのテンプレート、③日建学院の三角定規テンプレート、④VANCOの三角定規テンプレート、⑤その他、で好みが分かれると思いますが、私は、なるべく薄くて小さい①総合資格の青いテンプレートを使っていました。
ちなみに④VANCOの定規に7mスパンや8mスパンの位置に印をつけて使うという裏ワザ的なことが一時期流行ったようですが、それが有名になり過ぎたみたいで、今はテンプレートに印をつけるのは明確に禁止されていますし、試験監督にチェックされる可能性があるので、おすすめはしません。
そしたらここから先は、図面を書いていくわけですが、柱を描いたテンプレートと違うテンプレートを使いましょう。柱は濃く描いた方が見栄えがしますし、同じ部分で90~100か所柱を描くわけですから、テンプレートに鉛筆の粉がかなりついています。同じテンプレートを使うと、図面が汚れます。フローティングディスクを使えばよいという意見もあるかと思いますが、紙に引っ掛かって取り回しが悪くなるのでやめました。
私は先程の①総合資格の青いテンプレートを2つ持っていたので、それを使い分けましたが、実は長さが18cmとコンパクトな分、各階平面図の縦方向が若干寸足らずで、一度で線を引くことができません。②日建学院のオレンジのテンプレートでしたら21cmあるので、各階平面図の縦方向は一度でカバーできます。取り回しの良さとトレードオフの関係ですね。どちらにしろ、あとの残りは、ほとんど道具を変えずに描き切ります。
例外的に使うのは、円のテンプレートでしょうか。大空間や広場に「半径〇mの円が入ること」という条件が付いている場合があります。これは非常に重要な条件で、見逃すと減点が大きく、場合によっては一発不合格にもなりかねないと言われています。これは、出題者側としては大空間の要求によって空間構成を難しくしてエスキース力を試したり、ロングスパンの構造的な理解を確認したりしたいのに、受験者にそれを無視されてはそもそも採点に乗らない、という理由です。コンパスで描いてもいいのですが、焦るとうまくかけなかったり、半径間違えたりします。私は製図版に針を刺すのが嫌だったこともあり、『トライテック 製図 円テンプレート定規003-001』を使っていました。1mm~50mmまでほぼすべてのサイズがあり、テンプレートを使った方が濃くきれいに円も描けて便利でした。また、円を描く前に什器や文字との干渉が分かるので、奇麗な位置に円を描けるのもよかったです。
また、最後に『設計上留意した事項』を書く際に、引き出し線の角度をそろえたかったので、勾配定規も使っていました。70度くらいで線をそろえるのがおすすめです。
以上のテンプレートを『バンコ AC PRO テンプレートスタンド』に立てて使っていました。フランス料理と逆で、内側から使う順に立てておけば、いい感じだと思います。
最後に、電卓、ストップウオッチも見ておきましょう
電卓はカシオの12桁のものを使っていました。問題用紙やエスキース用紙の上で使うこともあるので、大きすぎると邪魔ですし、小さすぎると打ちにくいので、手のひらサイズの2000円~3000円くらいのものでよいかと思います。メモリーとルートがあれば、あとの機能は不要です。ただし、ボタンの二度押しや押損じがあると嫌ですので、おしゃれな見た目重視のものや安物は避けて、事務用品として売っているしっかりしたものを買いましょう。
ストップウォッチは、音が消せるものを探すのに少し苦労しました。こちらもたまたまカシオのものを購入しました。時間管理が非常に重要ですから、ストップウォッチはあった方が便利かと思います。
あとは、試験中に鼻をかんだり、定規をふいたり、私はやりませんが植栽を塗るときに鉛筆の粉を伸ばしてぼかしたりなど、色々使い道があるので、箱ティッシュも常備していました。スリムタイプでぎっしり詰まっていると、取り出しにくいので、普通の箱ティッシュでいいと思います。
このくらいでしょうか。ご相談いただいた方が身近な方だったり、自分が色々と失敗していたりする分、やけに気合が入ってしまいました。ノウハウを伝えてひたすら効率化を目指すというので、ふいに家庭教師のバイトしてた頃なんかを思い出しました。
みなさん前半・後半の2本に渡る製図道具の話、いかがだったでしょうか。この動画が、みなさまの効率的学習の一助となれば幸いです。
ご視聴ありがとうございました。
紹介した道具一覧(前半)
■マックス 平行定規 A2サイズ MP-400FL2
■無印アクリル小物スタンド(約幅13×奥行8.8×高さ9.5cm)
■ぺんてる 蛍光ペン ノック式 ハンディラインS
■パイロット フリクションボール スリム 0.38mm ライトブルー
■パイロット フリクションボールノック0.5mm 青/赤
■ステッドラー シャーペン 製図用 0.7mm + ぺんてる0.7B
■ぺんてる シャープペン グラフギア500 0.5mm + ぺんてる0.5B
■ナカトシ産業 ソフトグリップ
■パイロットDr.Grip / uni αgel
■レイメイ藤井 コンパス ペンパス
■MONO消しゴム(大1 小2)
■ぺんてる ホルダー消しゴム クリックイレーザー
■ステッドラー 字消し板
紹介した道具一覧(後半)
■レイメイ藤井 定規 はし0目盛り 直定規 18cm
■コクヨ 三角スケール プラスチック芯 15cm
■3M マスキングテープ 12mm×18M
■コクヨ 三角スケール 竹芯 副尺付 30cm
■ステッドラー レイアウト用方眼直定規 50cm
■①総合資格の青いテンプレート 18㎝
②日建学院のオレンジのテンプレート 21cm
③日建学院の三角定規テンプレート 13cm(短辺)
④VANCOの三角定規テンプレート 25cm(長辺)
⑤その他
■トライテック 製図 円テンプレート定規003-001
■ステッドラー 定規 勾配定規 マルス 15cm
■バンコ AC PRO テンプレートスタンド
■カシオ 電卓 12桁
■カシオ ストップウォッチ 消音機能付き
■箱ティッシュ