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北村機電本社改修

格式とくつろぎの共存

長野県茅野市に位置する北村機電株式会社本社の改修。竣工から40年近くを経た建物は、八ヶ岳を望む絶好のロケーションと引き換えに、夏季の照り付ける太陽と冬季の厳しい寒さにさらされていた。二重サッシを取り付け、屋根と外壁に厚いフェノールフォーム保温板を付加するといった温熱環境の改善はもちろんのこと、素材が持つ質感とコントラストによって、空間の質を高め、格式とくつろぎが共存する空間を実現することを試みた。

 

 3Fラウンジは、本実の小幅板を丁寧に敷き詰めた天井が訪れた者にクラフトマンシップを感じさせる一方で、少し長めの毛足を持った黒いタイルカーペットが足元から空間全体を引き締めている。ロングテーブルのシャープなエッジと重厚感のある革張りのアームチェアが織りなす対比のカウンターパートとしては、丸みのあるチェアと連続するソファを採用し、それぞれ粒感の異なるファブリックをあてがうことに解を求めた。また、間接照明が上品に局面壁を照らす傍ら、スポットライトが空間にリズムを与え、その可変性を可視化している。

 

 1F更衣室は、身支度を整え、仕事に臨む場として、優しく端正なカラースキームにまとめた。垂直に立ち並ぶ棚板をアースカラーの人造大理石天板がうまく束ね、やや緑がかったグレージュの壁が空間全体を包み込んでいる。

建築主: 北村機電株式会社

敷地: 長野県茅野市

​竣工: 2025年2月

用途: オフィス・工場

企画・コーディネート: 株式会社ムラシゴト

設計・監理: 中倉徹紀建築都市設計

​施工: ホナミハウス

​写真撮影: 中倉徹紀建築都市設計

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